50歳以上で発症率が急増!
帯状疱疹の予防と初期症状

生涯でおよそ3人に1人がかかる帯状疱疹。年齢が上がるほどリスクは高まりますが、若い世代でも免疫力の低下などで発症することがあります。つらい後遺症が残る場合もあるため、予防策や初期症状を知っておきましょう。

監修:

本田 まりこ

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痛みと発疹が特徴
つらい痛みが残ることも

 帯状疱疹はその名の通り、帯状に疱疹(水ぶくれなどの皮膚症状)が広がる病気。皮膚の痛みが数日から1週間続いた後に、赤い発疹ができ、やがて水ぶくれになります。この期間の痛みもつらいのですが、皮膚症状が治っても痛みだけが数カ月から一生続く「帯状疱疹後神経痛」になることも。まれに失明や命の危険に繋がることもあります。

 帯状疱疹は50歳以上で発症しやすくなり、最も多いのは60〜70代。しかし過労やストレスなどにより、免疫力が低下すれば、20〜40代でも発症することがあるため油断は禁物です。
 帯状疱疹を引き起こすのは、子どものころにかかった水ぼうそうの「VZウイルス」。これが死滅せずに体内に潜んでいて、再び暴れ出すと帯状疱疹になるのです。
 VZウイルスは日本人の成人の約9割に潜伏しています。VZウイルスを抑える免疫力は年齢とともに少しずつ低下していきますが、その途中に水ぼうそうにかかった子どもに接すると、少量のVZウイルスが体内に入り免疫が強化される「ブースター効果」を得られます。これが帯状疱疹の予防に有効なのですが、近年では予防接種が定着して水ぼうそうになる子どもが激減したために、大人がブースター効果を得る機会も激減。そのため、帯状疱疹にかかる人は、今後さらに増えると考えられています。

痛みの後に発疹が出たら
迷わず皮膚科へ

 帯状疱疹の予防策は、免疫を強化してVZウイルスの活動を抑え込むこと。最も効果的なのは予防接種です。50歳以上の人、震災やハードワークなどで強いストレスを受けている18歳以上の人はぜひ検討を。任意接種なので費用はかかりますが、自治体によっては助成もあるので確認しましょう。
 発症した場合、すぐに治療できれば10日ほどで治ることが多いのですが、遅れると重症化や、帯状疱疹後神経痛に移行するリスクが高くなります。そのため、早期受診が重要です。痛みを感じた場所に赤い小さなブツブツが出たら、迷わず皮膚科を受診しましょう。

※この記事内容は、執筆時点2024年6月30日のものです。

本田 まりこ(ほんだ まりこ)
まりこの皮フ科院長、東京慈恵会医科大学皮膚科客員教授。ウイルス性皮膚疾患診療のスペシャリスト。著書に『名医が答える! 帯状疱疹治療大全』(講談社)、『帯状疱疹の痛みをとる本』(講談社)ほか。

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