知って安心 子どもの教育費
さまざまな貸与奨学金

日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、大学生の4割が利用しています、卒業したら返還が必要になるので、無理のない借入額で利用しましょう。
JASSOの貸与奨学金、
自治体の奨学金など

■JASSOの貸与奨学金の概要
日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金には、特に優秀な学生に向けた無利子の「第一種」と、有利子の「第二種」があります。いずれも入学後に毎月振り込まれ、以降必要な学費等の支払いに充てられます。
高3の春に申し込む予約採用と、大学入学後に申し込む在学採用があり、いずれも学校で申し込みます。学力基準と家計基準に該当する必要があり、高3時の第二種予約採用の場合、高校等の学力が平均水準以上等で、世帯年収1,250万円以内が申し込める目安です(※家族4人、給与所得者の場合)。
給付奨学金と異なり、貸与奨学金は返済を要します。JASSOホームページ「奨学金貸与・返済額シミュレーション」を利用して、無理のない借入金額を探りましょう。

なお、学生が借り入れた奨学金返還の肩代わりを行う「奨学金返還支援制度」を設けている地方公共団体や、代理返還を行う企業もあります。Iターン、Jターン就職を検討しているなら要チェックです。
・日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」
・日本学生支援機構「地方公共団体の返還支援制度」

■貸与奨学金の返還に困った時の救済制度
貸与奨学金の返還は卒業7カ月後に始まります。延滞すると、個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に掲載されて、通常の融資と同様のペナルティを受けることになります。人的保証を選択した場合、連帯保証人に債権回収の連絡も来ます。返還が困難になる前に返還救済制度を検討しましょう。
返還救済制度には、最長15年間にわたり返還額を減らせる「減額返還制度」と、最長10年間にわたり返還を待ってもらえる「返還期限猶予制度」の2つがあり、併用も可能です。利用しても返還予定総額は救済制度利用前と変わりません。年収が一定額以下の場合が対象ですが、本人に扶養者がいる場合、年収から控除を受けられます。
本人の死亡または精神・身体障害時には、貸与奨学金の返還が免除されます。書類等を揃え、手続きする必要があります。


■地方公共団体の奨学金
都道府県や市区町村が実施する貸与奨学金(無利子・有利子)、給付奨学金がある場合も。その自治体に1年以上住んでいる、住所や本籍がある人などが対象です。給付内容や期間、応募時期は自治体毎に異なるので各自治体のウェブサイトで確認を。日本学生支援機構のウェブサイトにある「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」でも探せます。

多くの制度があるので、適切な制度を選択するためには早めの情報をキャッチアップすることが重要です。また、時系列で教育支出を俯瞰すると、いつ、どの程度のお金がかかるのか、お金を貯めやすいのはいつなのか、そして今何をすべきかが見えてくるでしょう。 全7回に渡ってお送りした記事を参考に、「情報」を武器に、家計の「ヤマ」を上手に乗り越えていきましょう。
※この記事は、都道府県民共済グループ発行「子どもの教育費がわかる本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。
清水 香(しみず かおり)
1968年生まれ。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表、株式会社生活設計塾クルー取締役。生活者向け相談業務のほか、執筆、講演など幅広く展開、TV出演も多数。財務省の地震保険関連の政府委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。