今からでも遅くない!正しい腸活
第2回 子どもも腸内環境を整えよう!

近年、子どもの便秘の増加が問題視され、親にとって大きな悩みのタネになっています。また、保育園や学校などに通う中で、免疫力が下がって風邪にかからないかなども不安ですよね。そういった予防のために腸内環境を整えることは大人だけではなく、子どもにとっても大切なのです。「正しい腸活」第2回目は、子どもの腸内環境の整え方を専門家に教えていただきます。

監修:

國澤 純

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3歳までの腸内環境が一生の健康の土台に!?

 実は3歳くらいで腸内環境が決まるといわれています。それ以降は、菌の割合が増減、菌の種類が減ることも。食品に含まれる菌のほとんどは通過菌と呼ばれ、定着はしないといわれています。
 赤ちゃんのころは善玉菌を代表するビフィズス菌が圧倒的に占めています。その後、離乳食が始まり、様々なものを食べることで腸内に多様な菌が存在するようになっていきます。

 ある程度食事を摂るようになると、考え方は大人と一緒です。食事が偏れば、腸内の菌も偏ります。また、保育園や学校など様々な感染リスクの高い環境に置かれるようになり、感染症などで抗生物質を飲むと菌が死んでしまうことも。多くの種類の菌を取り込み、菌の多様性を形成する幼児期の腸活は大切です。免疫力を整えるためにも、早い時期から意識して取り組んでみましょう。

まずは子どもの腸内環境の状態を知ろう

 子どもの腸の状態を知るには、便を確認するのが一番です。オムツ替えの時やトイレで流す前に状態をチェックしてみてください。

■便は腸の状態を知るバロメーター

 まずチェックするのは“におい”です。卵が腐ったようなにおいのときは、腸の状態が良くありません(赤ちゃんの場合、すっぱいにおいがしますが、それは問題ありません)。
 次に“形”。コロコロうんちの場合は水分が不足しているため、こまめに水分補給を。また、ねっとりしていると脂分が多い状態。ゆるい場合は、消化に良いものを食べましょう。
 子どものおしりを拭くときに、何も残らずすっきり出ていると腸の調子が良い状態です。
 “色”は食事の影響を受けやすく、腸内細菌との関係としては重要度が低くなります。
 なお、毎日便が出なくても、それぞれのペースでコンスタントに出ていれば心配する必要はありません。

子どもの腸活は「食生活」と「生活習慣」が大事

 以下の項目をチェックしてみてください。

 当てはまる数が多いほど、腸にとっては良くない状態。子どもの腸内環境を整えるには、食生活と生活習慣が大事です。これから紹介する腸活のポイントを意識して、普段の生活を見直してみましょう。

■子どもの腸活!「食生活」のポイント

 食生活のポイントは大人と同じく、以下の3つです。

① 菌のエサを摂る:腸内の菌が働くにはエサとなる「発酵性食物繊維」や「難消化性オリゴ糖」が必要です。こんにゃく、昆布、タマネギ、ゴボウ、ブロッコリー、リンゴ、キウイ、玄米、バナナ、大豆、牛乳などに菌のエサが含まれています。

② 腸活に必要な菌を摂る:納豆やヨーグルト、味噌などの発酵食品に、必要な菌が含まれています。

③ 菌の働きを促す食品を食べる:ビタミンB1が必要で、豚肉や大豆、ウナギや玄米などに含まれています。

こんな時はどうすれば良い…?

食事を出しても、思うように食べてくれないことも多いと思います。そのとき、無理に食べさせるのは良くありません。腸活で最も大事なのは「継続する」こと。こだわりすぎると息切れして長続きしません。好きなものを増やして、いろいろなものを食べられるようにするのが腸活の近道です。

好き嫌いがある

嫌いな食材があるときは、同じ栄養素が含まれている別の食材を試してみましょう。味噌汁やスープが好きなお子さんであれば、冷蔵庫にある食材を具としてどんどん入れてみる…というのも手です。まずは、手軽にいろんな種類が摂れる料理を試してみてください。どうしても食べない場合は、栄養補助食品も活用してみましょう。

お菓子ばかりを食べたがる

食品添加物や人工甘味料など天然ではないものは、腸にとって異物です。お菓子に含まれる糖の摂りすぎは注意が必要ですが、それを人工甘味料に変えてしまうのはもっと良くありません。おやつには、子どもの好きな果物など天然のものをあげてみると良いでしょう。

■子どもの腸活!「生活習慣」のポイント

 食事と合わせて大切なのが生活習慣です。規則正しい生活をすることで、腸も規則的な働きをしてくれます。
 以下の4つのポイントを意識して生活を見直してみましょう。

①外で遊ぶ=太陽の光を浴びる

 太陽の光を浴びると腸の働きが良くなります。また、適度な運動は腸に良い影響があるとされています。ただし、暑い日の屋外では様々なリスクがあるので、カーテンを開けて窓際で過ごすだけでも十分です。

②十分な睡眠を取る

 午後10時から午前2時が腸のゴールデンタイムといわれています。腸の働きを促すためにも、早くに寝る習慣づくりが大切です。

③こまめに水分補給をする

 水分により腸の働きが活発になります。また、腸に水が入ると、腸が働く準備をする合図に。起きたらまず1杯水を飲みましょう。

④トイレを我慢しない、我慢させない

 出てほしいときに出せない状態が続くと、便意がなくなってしまいます。すっきり便を出すためにも、トイレを我慢しない習慣をつくりましょう。

まとめ
幼少期の腸内環境は一生の健康の土台にもなります。今回のポイントを参考にして、ぜひ親子で腸活を始めてみてはいかがでしょうか。腸内環境が整うと、免疫力が整い、便秘解消にもつながります。また、腸活は「継続」することが一番大切。難しく考えず楽しみながらやってみてください。

公開日:2025年1月8日

國澤 純(くにさわ じゅん)
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 副所長、ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長を併任。薬学博士。大阪大学薬学部卒業後、米国カリフォルニア大学バークレー校へ留学。東京大学医科学研究所准教授などを経て2024年から現職。東京大学医科学研究所客員教授なども兼任。著書に『善玉酵素で腸内革命』(主婦と生活社)や『9000人を調べて分かった腸のすごい世界』(日経BP)がある。

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