季節の不調を解消!
<第6回 寒暖差アレルギー>

花粉の時期でもないのに、鼻がムズムズしたり、くしゃみが出る…。もしかすると、それは寒暖差アレルギーかもしれません。風邪やアレルギー性鼻炎とも似ているので注意が必要です。このような季節性の病気や症状の原因、予防・対処法を専門の先生に教えてもらうこのシリーズ。今回は「寒暖差アレルギー」についてご紹介します。

監修:

小澤 勝男

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まずはセルフチェック!

 次の項目に当てはまるものがないか、セルフチェックをしてみましょう。3個以上当てはまる場合、「寒暖差アレルギー」の傾向にあります。

「寒暖差アレルギー」の症状と原因は?

 寒暖差アレルギーとは、温かい場所から寒い場所へ移動したときや、スープや鍋などの熱いものを食べたときなどの「温度差」が原因となって生じる鼻炎です。急激な温度差が鼻の粘膜を刺激し、粘膜が腫れることによって引き起こされると考えられています。医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれ、7℃以上の温度差が発生すると起こりやすいといわれています。

 症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、体のだるさ、疲労感など。風邪や花粉症と似ていますが、風邪や花粉症は症状が持続するのに比べ、寒暖差アレルギーは一時的であり、寒暖差を感じなくなるとおさまります。鼻水は水っぽくサラサラした状態のものであることが多く、熱は出ません。また、アレルギー性鼻炎は花粉やほこりなどのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)がありますが、寒暖差アレルギーにはアレルゲンはありません。

~先生からのアドバイス~
「寒暖差アレルギー」
の予防と対処法

■温度差を小さくする工夫を

 寒暖差アレルギーの予防には、体が感じる温度差をできるだけ小さくすることが大切です。寒い日はマフラーやスカーフ、手袋やマスクなどで体を温めるようにしましょう。首には太い血管が通っているため、首周りを温めると血流促進につながります。また、マスクを着けることで冷気を遮断し、鼻の粘膜を刺激から守ることができます。暖かい日であっても、さっと羽織れるものを持ち歩くなどしましょう。

■筋肉をつけて血流を良くする

 筋肉量が少ないと、体内で作られるエネルギーが少ないため体温調節がうまくいかず、寒暖差アレルギーになりやすいといわれています。有酸素運動や筋トレを習慣付けて、筋肉をつけるといいでしょう。また、毎日の入浴や、ショウガやニンニクなど体を温める食材を使った食事などで血行を良くすることもおすすめです。

■ストレスをできるだけなくす

 疲労や睡眠不足、精神的なストレスなども、自律神経のバランスが乱れるため、寒暖差アレルギーに影響するといわれています。質、量ともに十分な睡眠を心掛け、こまめなストレス解消を行うといったことも、寒暖差アレルギー対策につながります。

「寒暖差アレルギー」まとめ


■寒暖差アレルギーは、温度差が原因となって生じる鼻炎。
■医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれ、7℃以上の温度差が発生すると起こりやすい。
■症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、体のだるさ、疲労感など。
■予防には、温度差を小さくすること、血流を良くすること、ストレスをなくすことが大切。

特に冬場は暖かい部屋から寒い外へと出る機会も多く、寒暖差アレルギーが起こりやすい季節。できるだけ体感温度差を生まないように、羽織るものや身に着けるものなどで工夫して寒暖差アレルギーを予防しましょう。また、適度な運動、栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠など、健康的な生活を送り自律神経のバランスを整えることも大切。温度差に左右されない体づくりを心掛けましょう。

※この記事内容は、執筆時点2023年1月25日のものです。

小澤 勝男(おざわ かつお)/医学博士
1967年名古屋大学医学部卒業。名古屋保健衛生大学(現藤田医科大学)胸部外科助教授、静岡済生会総合病院院長、東海医療工学専門学校校長などを務め、現在は東海医療工学専門学校非常勤講師。日本外科学会認定登録医、日本胸部外科学会指導医、日本心臓血管外科学会名誉専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医。

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