歩き疲れの原因
「O脚」を改善しよう

普段何気なく生活をしていると、気付かないうちに背中が曲がっていたり、重心が左右どちらかに偏っていたりと崩れた姿勢でいることが少なくありません。崩れた姿勢でいると、体の様々な箇所に負担が掛かり、首や肩の凝り、腰の痛みなど体のトラブルの原因になってしまいます。この記事では、多くの人が抱えやすい姿勢の問題を全6回にわたってご紹介します。第4回目のテーマは、歩き疲れの原因「O脚」です。

監修:

吉原 潔

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O脚の原因は
崩れた姿勢と脚の筋力不足

 「O脚」とは、両足の内くるぶしをつけて立ったときに、膝の内側がつかずに外側に開いている状態をいいます。その見た目が、アルファベットの「O(オー)」に見えるためO脚と呼ばれます。2歳くらいまでの子どもは生理的O脚といってO脚が普通ともいえるのですが、成長に伴い正常化します。
 成人以降では、膝の痛みを伴って徐々にO脚になることがあります。その原因で最も多いのが、加齢や肥満などにより関節の変形が進む変形性膝関節症です。ところが、加齢とともに全員が変形性膝関節症になるわけではありません。実はO脚になりやすい生活習慣があるのです。それについては、以下の2つが主なものです。

①「足を組むなどの崩れた姿勢」

 座るときに足を組んでいたり、椅子に浅く腰掛けて背もたれに寄り掛かる(猫背姿勢)など崩れた姿勢でいると、O脚になりやすい傾向にあります。崩れた姿勢でいることで骨盤が後傾して、股関節がねじれてしまい、膝が外側に開きやすくなりO脚になってしまうのです。

②「脚の筋力不足」

 デスクワークで長時間座っている、日頃運動をしていない、という人もO脚に要注意です。脚を閉じるときに働くのが太ももの内側にある内転筋という筋肉。長時間座っていたり運動をしていないと、この内転筋の筋力が低下してきます。すると、脚を内側に閉じようとする力が弱くなり、膝が外側に向いてしまうため、O脚になってしまうのです。

O脚のセルフチェックポイント

・立った状態で両足の内くるぶしをつけます。
・このとき、両膝の間に指が何本入るかチェックします。3本以上入る場合、O脚だと考えられます。

O脚を改善する正しい座り姿勢のポイント

・椅子に深く腰を掛ける。
・かかとを床につける。
・両膝をつける。

上記を意識すれば、O脚の改善につながっていきます。

脚・膝・腰に負担が掛かり
痛みの原因にも

 O脚は、見た目の問題だけでなく、体にも負担が掛かってきます。O脚で脚の外側が伸ばされると膝周辺の外側の筋肉の負担が多くなり脚が疲れやすくなります。また、膝自体にも負担が掛かり、痛みの原因にもなります。さらに、骨盤の傾きが変わってくると、体のバランスを保つために、上半身と下半身をつなぐ腰周辺の大きな負担に。腰痛を招くことにもつながってしまいます。

 これらの不調を招くO脚を改善するために、普段から「正しい座り姿勢」を心掛けていきましょう。また、次に紹介する体操を行って、内転筋を中心とした脚の筋肉を動かせば、O脚の予防や改善に効果的です。

■カエル足体操

①仰向けになり、手を床につきます。
そして膝を曲げて両足の裏をくっつけます。

②①の状態から内ももに力を入れて膝を伸ばします。
このときかかとはつけたままにしましょう。

【目安】10回

<ポイント>

②のときは、つま先を突き出すように斜め45度を目標に伸ばしましょう。

■両膝をつけたまま立ち上がる

①椅子に座り、
両膝の間にタオルを挟みます。

②タオルを落とさないように立ち上がります。

【目安】10回

<ポイント>

ももの内側に力を入れるとタオルを落としにくくなります。

まとめ
 O脚は、座っているときの姿勢が大きく関係しています。長い時間座っている人、特に足を組んでいたり、浅く腰を掛けたまま背もたれを使っている人は要注意です。また、内転筋というももの内側の筋肉が弱ることで、O脚になりやすくなります。ご紹介した体操や日頃からの運動で内転筋を鍛えて、O脚の進行や悪化を防ぎましょう。

※この記事内容は、執筆時点2024年7月17日のものです。

吉原 潔(よしはら きよし)
整形外科専門医・フィットネストレーナー。医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。

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