リタイア後も収入が必要
公的年金はその中心

完全にリタイアした後、老後生活費を中心的に支えるのは公的年金です。ここでは、「年金はいつから、いくらくらいもらえるの?」といった気になる疑問について、その仕組みをご紹介していきます。

監修:

浅田 里花

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基礎部分の「老齢基礎年金」

 65歳になると、基礎部分である「老齢基礎年金」が受け取れます。受給資格は、加入期間(年金保険料を納めた期間と免除された期間の合計)が10年あればOKですが、年金額は保険料を納めた期間により決まります。10年間しか納めていないと、40年間納めている人の4分の1の年金額しかもらえません。できるかぎり保険料納付期間を長くすることが、老後生活を守ることになります。

■繰上げ受給、繰下げ受給

 60歳からの繰上げ受給や、66歳以降75歳まで繰下げ受給を請求することも可能です。繰上げ受給の場合、請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され(最大24%減額)、その減額率は一生変わらないので要注意です。繰下げ受給の場合は、年金額の増額が行われることになります(70歳受給で42%、75歳で84%増額)。

上乗せ部分の「老齢厚生年金」

 会社員や公務員など国民年金第2号被保険者は、基礎部分に加え、上乗せ部分の「老齢厚生年金」が受け取れます。受給資格は、老齢基礎年金の受給資格を満たしており、厚生年金の加入期間が1カ月以上あること。この先の対象者は昭和41年4月1日以前に生まれた女性のみになりましたが、経過措置として、65歳前から「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」が支給されます。

■ねんきん定期便

 老齢厚生年金額は加入期間の収入が基となって計算され、その計算式はとても複雑ですが、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」により、年金額の見込みを確認することができます。50歳未満の人はこれまでの加入実績に応じた年金額など、50歳以上の人は老齢年金の見込額などが記載されています。35歳、45歳、59歳の人にはハガキ様式ではなく、封書の詳細なねんきん定期便が送られます。しっかり内容を確認して老後プランを立てるのに活用しましょう。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「公的保障がわかる本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

浅田 里花(あさだ りか)
ファイナンシャルプランナー、株式会社生活設計塾クルー取締役。コンサルティングや新聞・雑誌などへの原稿執筆、セミナー講師を行う。東洋大学社会学部の非常勤講師としても活躍。代表的な著書に『Q&Aで学ぶライフプラン別営業術』(近代セールス社)など。

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