離婚後の年金額は?
厚生年金保険の分割

様々な事情で離婚になった場合、年金はどのように分割されるのか気になる方もいるのではないでしょうか。離婚後に想定される「厚生年金保険の分割制度」について、しっかりと知っておきましょう。

監修:

望月 厚子

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配偶者と厚生年金記録を分割

 一方が働いて厚生年金保険の被保険者となり、他方が主婦(夫)だった夫婦が離婚した場合、婚姻期間中に厚生年金保険に加入していなかった配偶者は、老後の年金が低額になる恐れがあります。そこで、厚生年金保険の分割制度をご紹介します。

●合意分割制度=2007年4月以降に離婚した夫婦で、婚姻期間中に厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある場合、当事者双方の合意の下、婚姻期間中に夫婦双方が納付した厚生年金保険の納付記録を合算したものから最大半分を分割することができます。
双方の話し合いで合意に至らない場合は、当事者の一方の請求によって家庭裁判所の調停で決定するという方法もあります。

●3号分割制度=2008年5月以降に離婚した夫婦で第3号被保険者の配偶者から請求があった場合、2008年4月以降の婚姻期間中で、かつ配偶者が第3号被保険者期間中の相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分割することができます。請求期限は離婚した日の翌日から起算して2年以内です。

老齢年金の請求手続きの注意点

「年金は受給開始年齢になったら自動的に振り込まれるもの」。この思い込みはとても危険。何も手続きをしないと、時効により直近5年を超える部分の年金が受け取れなくなります。「年金は自ら請求手続きをしなければ受け取ることができない」と認識し、漏れなく手続きをしましょう。

CASE1: 65歳前の手続き

特別支給の老齢厚生年金を受け取れる年齢になる誕生月の3カ月前に緑色の封筒が郵送されてきます。年金請求書に書かれた内容に誤りがないか確認、必要事項を記入し、戸籍謄本や住民票などを添付して年金事務所などに提出。2カ月ほどで年金証書が届き、その後、支給が始まります。

CASE2: 65歳時の手続き

65歳になると特別支給の老齢厚生年金に代わって老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることになります。誕生月の初旬に届くハガキの年金請求書に必要事項を記入し、誕生月の末日までに日本年金機構本部に提出。1日生まれの人は誕生日よりも前に提出することになるので要注意です。

CASE3: 繰上げ、繰下げ手続き

老齢年金の繰上げを希望する場合、通常の年金請求書とは別に「繰上げ受給用の請求書」を提出します。繰下げの場合、65歳の誕生月に届くハガキまたは所定の年金請求書を提出。その後は、受け取りたいタイミングで「老齢基礎・老齢厚生年金支給繰下げ請求書」を提出しましょう。

※この記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。

望月 厚子(もちづき あつこ)
大手生命保険会社と独立系ファイナンシャルプランナー会社を経て、フリーとして独立。現在は社労士として活躍しながら、年金事務所(日本年金機構)の相談員も行っている。

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