老後の生活を支える
「老齢年金」
皆さんが年金と聞いたときに、最初にイメージするのが老齢年金ではないでしょうか?65歳から生涯にわたって2ヵ月ごとに支給され、老後の私たちの暮らしを支えてくれる老齢年金。ここでは、その大まかな仕組みを解説します。
日本の公的年金制度は3階建て
国民年金の加入者=被保険者は職業などによって第1〜3号に分けられ、受け取れる年金の種類が異なります。まずは自分がどの種別に属するかをチェックしましょう。
●第1号被保険者
20歳以上60歳未満の自営業者・農林漁業者・学生・自由業者・無職の人などとその配偶者など。
●第2号被保険者
会社員や公務員、教職員、一定の要件を満たすパートタイマーやアルバイトなど。
●第3号被保険者
第2号被保険者の配偶者(被扶養配偶者で20歳以上60歳未満かつ年収130万円未満であること)。
●老齢基礎年金
公的年金制度の土台となる国民年金(基礎年金)から給付される老齢年金です。40年間保険料を納めた場合の年金額=年間78万100円(2019年度)を満額とし、保険料を納めた期間と免除期間に応じた年金額が給付されます。2017年8月の法改正によって、受給資格期間が10年に短縮されました。2017年8月1日時点で受給資格期間が10年以上25年未満の人には、日本年金機構から年金請求書が入った封筒が送られています。まだお済みでない方は早めに手続きをしましょう。
●老齢厚生年金
第2号被保険者は、老齢基礎年金に加えて「老齢厚生年金」を受け取ることができます。年金額は「平均標準報酬額(給与と賞与を含んだおおよその年収の12分の1)」と厚生年金保険の被保険者期間に応じて決定。また、会社によっては企業型確定拠出年金などを導入しているところもあります。
このように、日本の公的年金制度は国民年金をベースに厚生年金保険などが積み上がっていく仕組みになっています。厚生年金保険に加入していない、または加入したことがない第1・3号被保険者は、個人型確定拠出年金などを活用し、将来の年金額をアップさせることができます。
未納期間があっても諦めは禁物
国民年金の保険料を納め忘れてしまった期間があっても、「年金はもらえないんだ…」と諦めるのは早計です。
経済的な事情から国民年金の保険料の納付が難しい場合は、必ず「保険料免除申請」または「納付猶予申請」をしましょう。免除期間中は「受給資格期間」としてカウントされ、未納として扱われません。免除期間の保険料は、「追納制度」を使うことで10年以内であれば保険料を納めることができます。支払い方法は一括、分割などが選択できます。納付猶予制度は50歳未満(学生を除く)で、本人、配偶者それぞれの前年所得が一定額以下の場合、申請で保険料の納付が猶予されます。年金事務所などに相談してみましょう。
保険料が安くなる国民年金の前納制度を活用しましょう!
国民年金の保険料を前納することができる制度もあります。この前納制度は第1号被保険者を対象にしたもので、6カ月・1年・2年という単位で前もって保険料を納めることができます。
前納制度には、前納期間の保険料から一定額が控除される、つまり「保険料が通常よりも安くなる」というメリットがあるのです(ただし、申し込み期間あり)。例えば、口座振替で1年前納すると4,130円、2年前納すると1万5,760円も納付額が割り引きされます(2019年度)。口座振替や現金、クレジットカードなどが利用できるので、経済的に余裕があれば活用を検討しましょう。
※この記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。
望月 厚子(もちづき あつこ)
大手生命保険会社と独立系ファイナンシャルプランナー会社を経て、フリーとして独立。現在は社労士として活躍しながら、年金事務所(日本年金機構)の相談員も行っている。