季節の不調を解消!
<第2回 気象病>

「梅雨時は頭痛やめまいがする」「台風が来ると古傷が痛む」「天気が悪いと気分が落ち込む」…。このような気圧や気象の変化による身体・精神の不調を、「気象病」といいます。季節性の病気や症状の原因、予防・対処法を専門の先生に教えてもらうシリーズ。今回は「気象病」についてご紹介します。

監修:

小澤 勝男

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まずはセルフチェック!

 次の項目に当てはまるものがないか、セルフチェックをしてみましょう。3個以上当てはまる場合、「気象病」の可能性があります。

「気象病」の症状と原因は?

 私たちの体は、気温や湿度が変化しても体温や血管、内臓の働きを一定に保とうとする自律神経という機能を備えています。また、私たちはつねに大気からの圧力(気圧)を受けていますが、体内から同じ力で押し返し、自動的に圧力のバランスをとる機能もあります。
 ところが、梅雨や台風の時期などに急激に気圧が下がったり、気温や湿度が大きく変化したりすると、それらの体内環境を適切に保つ機能がうまく働かなくなり、その結果、体調不良となります。これが「気象病」です。
 症状は人によってさまざまで、頭痛、めまい、疲労感、肩こり、関節痛などの身体的な症状が起こる人もいれば、うつやイライラなど精神的な症状があらわれる人もいます。
 自律神経はホルモンとの関係性が深く、月経のある女性は月経周期により、また閉経後の女性はホルモンバランスが取りづらいため、女性のほうが気象病になりやすいといわれています。また、まじめで敏感な性格の人や精神的なストレスを受けやすい人などもなりやすい傾向にあるようです。

~先生からのアドバイス~
「気象病」の予防と対処法

■体を温める

 「梅雨冷え」という言葉もありますが、梅雨の時期は雨が続くことで気温が下がり、体が冷えやすくなります。体が冷えると血管が収縮して緊張状態となり、交感神経が優位に。この状態が続くと自律神経がバランスを崩し、気象病にもかかりやすくなります。また、体温を低くしない方が免疫機能を保てるともいわれています。
 日中は羽織る物を常に持ち歩いたり、「冷えたな」と思ったら軽くストレッチをして体を温める工夫をしましょう。夜は入浴の習慣を。1日の終わりに入浴して体温を上げ、心身ともにリラックスすることで自律神経が整い、質の良い睡眠も取りやすくなります。

■睡眠

 人は睡眠中に副交感神経が優位になることで、心身の疲労を回復したり、体内の機能を整えたりします。夜遅くまで起きていたり、睡眠不足が続いたりすると、交感神経が優位の状態が続き、体に負荷がかかって気象病になりやすくなるため。十分な睡眠時間を確保することを心掛けましょう。
 規則正しい生活を心がけ、睡眠の質を高めることも大切。毎朝同じ時間に起床・就寝したり、寝具や寝室の環境を整えたりして、ぐっすり眠れるルーティンを作りましょう。また、就寝前のテレビやスマートフォン、ゲームなどは質の良い睡眠を妨げる原因になることがあります。寝る前の約1時間位は控えることをおすすめします。

■薬を飲む

 頭痛などの症状には頭痛薬が有効的ですが、「薬を飲みたくない」と思っている人や、症状が重くなってから薬を飲む人が大変多いです。気象病の対策として、症状が出る前に薬を飲むのが効果的。早めに飲んでおくことで症状のつらさを和らげることができます。
 体が敏感な人は低気圧が近づいてくると、なんとなく症状が出そうと感じると思うので、その段階で服用しておくといいでしょう。薬を飲んでいても症状が改善しないという場合には、医者を受診しましょう。
 自律神経の乱れは自覚しにくく、「いつの間にか気象病になっていた」というケースも少なくありません。普段以上に体調管理を心がけるとともに、自分に合った対策を見つけて、梅雨の時期を乗り越えましょう。

「気象病」まとめ


■気圧や気温の急激な変化により自律神経の働きが悪くなることで、頭痛や気分の落ち込みなど心身の不調を引き起こす。
■梅雨冷えや睡眠不足に注意し、自律神経のバランスを整える習慣を。
■羽織るものを持ち歩いたり、入浴、ストレッチなどの習慣を付け、体温が下がらないように心掛けましょう。
■症状があらわれる前でも、気圧の変化などを感じたときに、頭痛薬などを飲んでおくとつらさを和らげることができます。

※この記事内容は、執筆時点2022年4月26日のものです。

小澤 勝男(おざわ かつお)/医学博士
1967年名古屋大学医学部卒業。名古屋保健衛生大学(現藤田医科大学)胸部外科助教授、静岡済生会総合病院院長、東海医療工学専門学校校長などを務め、現在は東海医療工学専門学校非常勤講師。日本外科学会認定登録医、日本胸部外科学会指導医、日本心臓血管外科学会名誉専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定産業医。

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