定年後の働き方
ワンポイントアドバイス

人生100年といわれる今、老後の生活、中でも「お金」について心配されている方が多いようです。この不安を少しでも解消するために「老後のお金を守る」をテーマに、専門家のアドバイスをシリーズでお送りしています。今回は、現役時代と定年後の働き方の違いについて、その考え方のワンポイントアドバイスをご紹介します。

監修:

内藤 眞弓

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<コラム〜老後の暮らしを考える〜>

定年後は現役時代とは違う発想で働く


 定年後にどう働くかは、本人の希望によって変わります。しかし、働く条件が変わるのは多くの人に共通しています。定年時にはある程度の退職金を受け取りますし、65歳からは公的年金の受給が始まります。すべての支出を働いた収入で賄わなければならない現役時代とは状況が大きく異なります。その分、選択肢が増えるといってもいいでしょう。

 総務省統計局の「家計調査」(2023年)によると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、年金を中心にした毎月の可処分所得は21万3,128円です。一方で消費支出は月25万2,086円なので月3万8,958円が不足しています。この不足分を賄うことができれば、貯蓄を取り崩す必要がなくなるので安心です。これは平均値ですので少し多めに見積もって月5万円としても、働いて稼ぐのはそれほど難しくないでしょう。週1、2日の仕事でも得られるかもしれませんし、趣味を活かして収入を得ることができるかもしれません。大切なのは長く働ける環境をつくることです

 しかし、もし老後資金が大幅に不足しそうな場合は、定年後も厚生年金に加入しながらフルタイムで働いて、引き続き老後資金づくりと年金額のアップを狙う方法もあります。くわしくは今後の連載で紹介していきます。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「老後のお金を守る本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

内藤 眞弓(ないとう まゆみ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)/博士(社会デザイン学)/株式会社生活設計塾クルー取締役。ひとり一人の事情、考え方に即した生活設計、保険の見直し、資産運用などの相談業務を行う。著書に『お金・仕事・家事の不安がなくなる共働き夫婦の最強の教科書』(東洋経済新報社)など。

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