食料備蓄は日常的に意識して
ローリングストックを心がけよう

在宅避難する場合は、ある程度の時間は備蓄食料で生き延びることになります。災害用の長期保存食をわざわざ買い揃えなくても「日常的に食べているもの」で災害に備えることができます。日常的に使用し、補充を繰り返す「ローリングストック」を心がけましょう。

監修:

澁川 真希

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ローリングストックで心がけたいポイント

①家族の人数×2食分×7日間、が基本!

大規模災害発生時には、水、電気、ガス等のライフライン復旧までに時間を要するため7日間の備蓄が望ましいとされています。避難所に入れるとも限りません。非常時のため1日2食と計算し、最低限家族の人数×2食×7日間を乗り切れるだけの水と食料、水道、電気やガスが使えなくても調理できるような環境を整えておきましょう。3つの質問に答えるだけで、各家庭に応じた備蓄品目・必要量がリスト表示される「東京備蓄ナビ」等のサイトも参考になります。

②「食べ慣れたもの」を備えておこう

非常食による食料備蓄は「食べ慣れていない、味が濃くてつらい」というケースも。日常的に食べている「日常食品」を災害時に食べることで食卓だけでも「いつもと同じ」状況を作り、心に少し余裕を作ることができます。ストックは「おいしさ」を優先し、調理が簡単なこと、栄養バランスなどを加味して選んでいきましょう。

③「定期的に食べること」を心がけよう

乾パンなどの「非常食」による食料備蓄で多いパターンが「いざ食べようとした時に消費期限が切れていた」というもの。ローリングストックなら、そういう消費期限切れを防ぐことができます。長期保存を前提にした非常食は日常的には食べないので、そういったものは1年に1度、定期的に「非常食を食べる日」を家族で決めるとよいでしょう。

④栄養バランスにも気をつけよう

災害時の支援物資はパンやおにぎりなどの炭水化物が中心となり、避難生活ではどうしても栄養バランスが崩れがちになってしまいます。肉類などのタンパク質、海藻類や切り干し大根の乾物や野菜類の缶詰など、調理が簡単で、栄養バランスも考えたものを備蓄しておきましょう。

備えておきたい保存食

①主食・水

ローリングストックでは備蓄食料を日常的に食べていくので、お米は通常のものでOK。無洗米だと水を節約できます。個包装のお餅やフリーズドライのお粥類、そのまま食べられるシリアルも便利。水は調理にも使うので、1日1人3Lを目安に確保を。長期保存水でもいいのですが高価なので、通常のミネラルウォーターでローリングストックの方が経済的です。

 

②肉・魚

肉類を摂取するためには、ランチョンミートやソーセージ、焼鳥の缶詰、レトルトのカレーや中華丼などを備えておきましょう。魚は味付けをしやすいサバの水煮缶やツナ缶が便利です。万が一に備え、缶切りのいらないタイプを揃えておきましょう。

 

③野菜・その他

トマトやコーンの缶詰、切り干し大根やひじきの乾物、豆のドライパックなどで野菜を確保しましょう。食物繊維不足を防ぐため、野菜ジュースや青汁の粉末なども。調理用のソース缶も便利。栄養補助食品や乳酸菌タブレット、お菓子などの保存性のある嗜好品も加えておくと安心です。

台所に備えておきたい便利グッズ

①カセットコンロ・ガスボンベ

電気やガスが止まっても調理ができるカセットコンロは必ず自宅に備えておきましょう。ガスボンベは1日1本(強火で約1時間分)を目安にし、7本以上を備蓄しましょう。

②圧力鍋・保温調理器

ガスボンベが貴重品となるので、節約するためにも加熱を最小限にできる圧力鍋や保温調理器があると便利。日常使いの鍋にかぶせて使うことができる分厚い綿入りの鍋カバーなどでもOK。

③電気ポット

電気は比較的早く復旧するので、お湯をわかして身体を拭いたり、インスタント食品を食べるのに活用したりと、電気ポットが1つあるだけで被災時には大活躍。保温できるタイプのポットをおすすめします。

④ビニール手袋

水道の復旧も時間がかかることが想定されるため、水を節約するためにもなるべく“洗い物を出さない”調理を。ビニール手袋は調理に役立ち、衛生環境を保つこともできます。

⑤ポリ袋・ラップ類

食器にラップを敷いて使用すれば食器洗いは不要。ポリ袋は加熱調理可能なものなら食材を入れて鍋の水で茹でて加熱、食べ終わったらそのまま捨てられる「パッククッキング」にも。

⑥使い捨て食器類

断水を想定して、使い捨てできる割り箸やプラスチック製のフォークやスプーンなどのカトラリー、紙皿、紙コップなどを備蓄。なるべく洗い物を出さないことを想定してストックを。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

澁川 真希(しぶかわ まき)
整理収納アドバイザー。整理収納サービス「コンフォートスタイル」代表。2012年、仙台から東京へ転居。東日本大震災での自身の被災経験をもとに「減災整理セミナー」などを開催している。

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