目指そう!家事の頼り上手
第1回 家事のシェアや時短テクで家事負担を軽減!
家事と仕事を並行して行うことが大きな負担に感じている人は少なくありません。両立させることは大切ですが、無理をしているとどちらもうまくいかなくなってしまいます。そこで、一人で無理をするのではなく、家族の力や時短テクニック、便利グッズ・家電、家事代行サービスに頼ることも考えてみましょう。この企画では、全2回にわたって、上手に家事をこなす“家事の頼り上手”になるための方法をご紹介します。
まずは家族で話し合うことから始めましょう
共働きの家庭が多い現在、平日の家事に割ける時間は1日2時間程度といわれています。そのため、家事はどうしても疎かになりがちです。また、統計によると、共働きであっても家事関連時間の77.4%は、妻が担っているとされています(※)。一人で多くの家事を抱えていると、せっかくの休日も家事に追われ、心身を休めることができなかったり、パートナーへの不満が溜まってしまったりと、日々の生活に支障が出てしまうこともあります。家事は家族の問題です。
“家事の頼り上手”を目指すためにも、まずはパートナーや子どもも含めてみんなで話し合うことから始めてみましょう。家族間であっても、家事への考え方、負担に感じていることなどが異なっている場合があります。パートナーの考え方を聞くことで、家事を上手にシェアしたり、工夫できるアイデアが得られたりするかもしれません。話し合いのときには、以下のことをポイントにしてみましょう。
家事の話し合いのポイント
■お互いの家事への考え方を共有する
家族間であっても、「手の空いている方が家事をしたらいい」「きっちり分担して取り組みたい」など家事への考え方が異なっていることも少なくありません。まずはお互いの考え方を共有すると共に、「家族の時間を確保したい」「自分のための時間が欲しい」「ゆっくりとしたい」など、家事の負担を減らすことで、叶えたいことも一緒に話し合いましょう。
■それぞれの家事の得意・不得意、難しいこと、困っていることなどを出し合う
家事も適材適所が大切。家事の得意・不得意、難しいことや困っていることなどを共有し、担当を変えたりやり方を工夫したり、一緒に取り組むことで解決できないかを考えてみましょう。
■「見えない家事」や「不要な家事」についても考える
洗剤の補充、食器・調理器具の収納、歯ブラシの取り替えなど、生活の中にはたくさんの「見えない家事」があります。また、裏返った洗濯物を直す、つけっぱなしの電気を消すなど本来はやる必要のなかった「不要な家事」もあります。これらの細かな家事は見落とされている可能性が高いので、話題に挙げて気付いてもらうようにしましょう。
■事前に書き出しておく
突然話し合いをしようとしても、ストレスに感じたことを思い出せなかったり、つい感情的な想いをぶつけるだけになってしまうことも少なくありません。話し合いの前には、家族に伝えておきたいことを書き出しておきましょう。
【書き出しておきたい項目】
現在行っている家事の全体像を把握するために行います。夫やお子さんがやっている家事があれば、それも追記しましょう。
・主に担当している家事
(料理、買い出し、洗濯、部屋の掃除、お風呂掃除、ゴミ出し など)
・見えない家事や不要な家事
(裏返った洗濯物を直す、つけっぱなしの電気を消す など)
・代わって欲しい家事
(3つほど挙げて、その理由も記入)
・その他
(難しい、困っていると感じている家事 など)
家事をシェアして
負担を軽減
家事をシェアすることで、費用を掛けることなく、家事の負担を軽減することができます。一方で、家族に負担を掛けることになるからと、気が引けてしまう方もいるかもしれません。しかし家事は本来、生きていくために個人が身に付けておきたいスキルです。生活の中で実践していかなければ身に付かないものなので、一人で抱え込んでいると、他の家族が生活スキルを身に付ける機会を奪うことにもなってしまいます。
上手に家事をシェアするために、以下の家事をシェアするコツを参考にしてみましょう。
コツ①:リストアップして担当を決めよう
まずは、毎日やること、週末など定期的にやることを書き出しましょう。それを家事の種類ごと、もしくは時間帯ごとにリストアップします。次に、得意・不得意や働き方も考慮しながら、リストアップした家事の担当を決めていきます。
コツ②:家事をする時間を決めよう
お互いに仕事をしていると、家事をできる時間が限られています。その場合、どの家事をいつやるのか、時間を決め手おくと、やり忘れを防げます。休日が同じ場合は、午前中を家事の時間とするなど、一緒に行うのもいいでしょう。
コツ③:感謝の気持ちを伝えよう
家事をしてもらった相手には、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。感謝の言葉が一つあるだけで、家事に対する意欲が変わってくるはずです。「ありがとう」が言いづらい人は、「ナイスパパ」「ナイスサポート」など、チームメイトに使うように声を掛けてみましょう。拍手するだけでも効果的です。
コツ④:子どもに役割を任命しよう
子どもに家事の協力をしてもらうときは、具体的な役割に任命してみましょう。例えば「お掃除リーダー」や「ハンディモップ係」などに任命すると、責任感が芽生え、自主的に頑張ってくれるはずです。
家事の時短テクニックを
身に付けよう
家事のやり方は人によって様々ですが、そのやり方次第で、家事の時間を短くすることができ、負担を軽減することができます。家事の時短テクニックを身に付けることは、金銭的な負担や手間暇が少なくできます。一例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
■キッチン周り・料理
・献立は、主菜と副菜を組み合わせた「定番ペア」を3つほど考えておくと悩まない。
・牛乳パックの解体はハサミを使わず糊づけされた角から手で開くとラク。
・ふきんの代わりにキッチンペーパーを使い、洗濯や漂白の手間をなくす。
■掃除
・家具と壁の間隔を掃除機のヘッドの幅に合わせて、隙間も一度に掃除してしまう。
・重曹をひとつかみ入れて入浴すると湯船の汚れがサッとおちる(洗剤不要)。
・寝る前に除菌洗浄剤をスプレーするだけで、起きたらトイレ掃除終了。
■洗濯
・バスタオルをフェイスタオルに変えて、洗濯量を大幅に減らす。
・乾いた洗濯物は家族別のカゴに入れて各自で畳む。
・靴下などの小物は平干しネットに干すと、干すのも取り込むのもラクになる。
このように、いろいろな時短テクニックがありますので、ご家庭にあったものをぜひ試してみてください。
また、家事をしやすいように、家具や道具の配置を見直すのも、時短につながるテクニックの一つです。家事をしやすくする収納のコツについては別記事『ラクカジ収納レッスン』も参考にしてください。
まとめ
家事は一人で抱え込んでやる必要はありません。まずは、負担に感じていることや困っていることは家族間で話し合い、共有しましょう。話し合いの結果、シェアしたり、時短テクニックで精神的・肉体的な負担を軽減できれば、家族と過ごす時間や自己研鑽の時間を増やすことができます。家事をラクにするアイデアは、どんどんと取り入れながら、実践していきましょう。
次回は、便利グッズや家電、家事サービスで家事の負担を軽減する方法をご紹介します。
※出典:内閣府「男女共同参画白書 令和5年版」 6歳未満の子どもを持つ妻と夫の場合
※この記事内容は、執筆時点2024年3月27日のものです。
本間 朝子(ほんま・あさこ)
知的家事プロデューサー
自分自身が仕事と家事の両立に苦しんだ経験から、家事の効率化に役立つメソッド「知的家事」を考案し、メディアや講演を通じて提案している。TV・ラジオ、雑誌出演多数。著書に『写真で分かる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』『60歳からの疲れない家事』(青春出版社)、『ゼロ家事』(サンクチュアリ・パブリッシング)など計12冊がある。