被災後の住宅修理や
公的融資のしくみ

被災した際、その程度に応じて「住宅の修理」を受けられることをご存知ですか?また、再建や修繕にお金が足りず困ったとき、必要な融資を低金利で利用することもできます。ここでは、万一のときに被災者の助けとなる「災害救助法」と「災害復興住宅融資」についてご紹介します。

監修:

清水 香

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被災後の生活で必要な
救助を受けられる

 「災害救助法」は、被災者の命を守り、保護を図るために適用される法律です。人口に応じた一定数以上の住家の滅失がある市区町村に適用され、発災直後から衣食住に係る物資の給付をはじめとした救助が行われます(下表参照)。法が適用された地域には、さまざまな被災者支援策が官民を挙げて講じられることになります。

■災害救助法

救助の種類

①避難所、応急仮設住宅の設置
②食品、飲料水の給与
③被服、寝具等の給与
④医療、助産
⑤被災者の救出
⑥住宅の応急修理
⑦学用品の給与
⑧埋葬
⑨死体の捜索及び処理
⑩住宅またはその周辺の土石等の障害物の除去

災害救助法による
「住宅の応急修理」は2種類

 救助メニューのひとつ「住宅の応急修理」は、一定の被災世帯が住宅修繕を受けられるものです。対象になる世帯は、住宅が半壊・中規模半壊または大規模半壊となった世帯、あるいは準半壊の世帯で、大規模半壊以外は資力等を勘案して給付が判断されます。
 居室・キッチン・トイレなど、日常生活に必要な最小限度の被害部分が対象で、市区町村が業者に修繕を委託して実施されます(現物給付)。被害区分が半壊以上で、応急修理に1ヵ月超かかると見込まれる場合、最長6ヵ月にわたり仮設住宅に入居することもできます。

■住宅の応急修理の内容

被災者向け低利の住宅融資

 罹災証明書を交付された人が利用できるのが住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資」です。住宅を建設・購入・補修をする場合が対象で、準半壊、一部損壊は補修にのみ利用できます。低利で全期間固定ですが、要件(物件、融資額、返済額、返済期間、年齢など)を満たす必要があります。申込は被災日から2年間。自治体から利子補給などの支援が行われることもあります。

返済は利息のみの「高齢者向け返済特例」も

 60歳以上の人を対象に住宅再建・修繕を後押しする「災害復興住宅融資・高齢者返済特例(災害リバースモーゲージ)」は、新たな家や今ある土地を担保に融資を受け、毎月利息のみを支払うものです。1,000万円を借入れた場合、月返済額は2万1,750円(2023年4月の融資金利2.61%で試算)です。
 夫婦世帯では両者が死亡するまで住むことができ、死亡後に相続人が土地と建物を売却して元本を一括返済します。このとき債務は残りません。申込前に住宅金融支援機構によるカウンセリング相談が必要です。まずは下記のコールセンターにお問い合わせください。

■住宅金融支援機構の問い合わせ先・申込関係書類の請求先

◆住宅金融支援機構「災害復興住宅融資」
◆住宅金融支援機構「災害復興住宅融資 〈高齢者向け返済特例〉」

※この記事内容は、執筆時点2023年8月1日のものです。

清水 香(しみず かおり)
1968年生まれ。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表、株式会社生活設計塾クルー取締役。生活者向け相談業務のほか、執筆、講演など幅広く展開、TV出演も多数。財務省の地震保険関連の政府委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。

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