健康寿命が延びる!
長寿食材で健やかな毎日

「健康寿命」などの言葉が注目される昨今、健康的な老後を送るために、毎日の食事はとても重要。高齢になるにつれて不足しがちな栄養素を取り入れ、健康長寿を目指しましょう。

監修:

柳澤 英子

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健康で長生きするためにはバランスのよい食事が大切

 「健康寿命」という言葉を耳にする機会が増えています。健康寿命とは、健康的に日常生活を送れる期間のこと。2016年時点で、日本人の健康寿命は男性72歳、女性74歳。一方、平均寿命は男性80歳、女性87歳。平均寿命と健康寿命の差、つまり不健康な期間が10年近くもあるのです。高齢化が進む日本において、この差を縮めることは重要な課題だと考えられています。
 健康寿命を延ばしていくためのカギといわれているのが、毎日の食事です。厚生労働省が進める国民健康づくり運動「健康日本21」において、日本人の長寿を支える一助として、「バランスのとれた食生活」が挙げられています。


 バランスのとれた食生活とは、肉だけ、野菜だけという偏った食事ではなく、何種類かの食材を組み合わせること。食材の数が多いほど、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、重要な栄養素を満遍なく摂取でき、食べる楽しみも湧いてきます。上記の栄養素はその代表的なもので、体の不調を改善する効果があります。実際に、100歳を超えても元気な方には、さまざまな食材を食べているという共通点も。


 しかし、特に若い人はお金をかけずに食事を済まそうとするあまり、偏った食習慣になりがちです。そのような食生活は、免疫力・集中力の低下や、肥満の原因になります。偏った食事で健康や美容を損なうのであれば、多少食費をかけても食生活を改善した方が、結果として出費を抑えられるでしょう。私自身、心身ともに元気で過ごせており、医療費や美容代はほとんどかかっていません。食事の大切さを身をもって実感しています。

たくさんの食材から豊富な栄養素を取り入れよう

 栄養を効率的に摂取するには、栄養素を逃さない調理法を選ぶこと。食材をゆでると、ゆで汁に栄養が逃げてしまうので、避けた方が無難です。スープやみそ汁にしたり、油で炒めたりして余さず栄養を摂るようにしましょう。特にみそ汁は、多忙なときや品数を多く作るのが面倒なときにおすすめ。具だくさんにすれば、多くの食材を一緒に食べることが可能なので、おのずと栄養バランスがよくなりますよ。


 また、高齢の方は誤ご嚥えんに要注意です。いも類などの水分が少ない食材や、ナッツなどの硬い食材は、水分や油で調理してしっとり仕上げるとよいでしょう。油分は身体に悪いと思われがちですが、オリーブオイルやバターには腸内環境を整える効果があります。


 上記のレシピは、年をとるにつれて摂りにくくなるといわれる栄養素を多く含んだ食材を使用しています。特に、免疫力の向上に効果のある亜鉛と、生活習慣病の予防にも効果的なマグネシウムは不足しがちなので、魚介類や海藻類などを意識して摂取しましょう。また、免疫力の向上や血流の改善には、腸内環境を整えることも大切です。積極的に食物繊維を摂るようにしましょう。上記の食材やレシピを参考にしながら食を楽しんでくださいね。

※記事内容は、執筆時点2020年8月1日のものです。

柳澤 英子(やなぎさわ えいこ)
再現しやすい簡単レシピに定評がある料理研究家。52歳で始めた独自の食事法をまとめた『やせるおかず作りおき』(小学館)が話題に。近著に同シリーズの『冷凍からのレンチン!やせるおかず作りおき』などがある。

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