安心できる老後を迎えたい。
どうする?「老後のお金」

「人生100年時代」とも言われていますが、老後の生活について漠然と不安に感じている方も少なくないはず。「年金でなんとかなるだろう」と楽観視せず、今からできることを始めておきましょう。

監修:

深田 晶恵

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老後に必要なお金を考え家計を見直しましょう

 「老後資金はいくら貯めるといいのだろう?」「早めに準備しなくてはいけないのは分かっているけれど、なかなか手が回らない」—— 。そのように考える40~50代は多いと思います。
 暮らし方によって異なりますが、総務省の家計調査に基づくと、老後資金のひとつの目安は「3000万円」です。
 3000万円という金額に不安を感じることでしょう。でも、老後は明日突然スタートするわけではありません。準備の時間はまだ残されていますので、今から準備を始めましょう。

 まずは、今の高齢世帯の収支を見てみましょう(下図)。

 年金などによる収入に対して生活費や住居費、車の維持費、保険料などの支出が上回っているため、年間収支は赤字になっています。赤字分は現役時代に貯めた老後資金を取り崩しています。
 90歳まで生きた場合、65歳からの25年間で夫婦の年間不足分は1625万円となります。それ以外に病気や介護、家の修繕費用などの突発的な支出を想定し、さらに1000万円の蓄えを持っていたいもの。となると、準備すべき老後資金は合計で2625万円となりますが、余裕を持った金額にするなら3000万円が目安となるわけです。
 今の40~50代がこれだけの金額を貯めることは容易ではありません。70~80代の世代の方が現役だったころとは異なり、さまざまな要因によりお金を貯めにくくなっています。その理由として、以下の5つが考えられます。

 理由の①「税金や社会保険の負担増による手取り減少」と②「利息を得られない超低金利」は、外的要因なので個人での対策は難しいでしょう。しかし、③④⑤の3つは自分でコントロールすることができます。
 例えば、③の「教育費の高騰」について。進路に合わせた支出はある程度、想定できます。公立と私立では、学費の差が大きく異なりますから、子どもと進路を相談し、資金計画を立てましょう。
 ④の「高額な住宅ローン」については、定年時のローン残高を確認し、老後に負担を先送りしないよう、返済プランを考えることが大切です。
 そして、最も自分でコントロールしなければならない項目が⑤の「消費好きのバブル世代」。もちろん全員ではありませんが、若い世代に比べて、50代はお金を使うのが好きな人が多い傾向にあります。生活費・交際費・余暇費については、予算を縮小するといいでしょう。
 また、携帯電話の通信費を見直すだけでも、家族分の支払いを考えれば大きな額になります。今話題の「格安スマートフォン」に替えると、1台あたり月々2000円以下になるプランもありますので、検討してみてください。
 その他の支出についても、先延ばしにせずに見直してみましょう。

パート主婦は社会保険の収入の壁に注意が必要

 専業主婦家庭の場合、妻がパートで働くことで世帯収入をアップさせることができます。その際に「扶養の範囲内で働くかどうか」で迷うでしょう。

 2018年1月から、配偶者控除を受けられる金額が103万円から150万円に引き上げられ、話題になりました。妻が夫の扶養の範囲内で働ける「103万円の壁」が「150万円の壁」に上がったことは喜ばしいこと。さらに「150万円の壁」を越えたとしても、配偶者特別控除として段階的に控除を受けられるので、急激に夫の手取り収入が減ることはありません。
 しかし、注意すべきは「社会保険の壁」です。妻の年収が130万円を超えると、妻は夫の社会保険の扶養から抜け、自分自身で社会保険料を負担しなくてはなりません(妻のパート先が大企業で一定要件を満たす場合は106万円)。社会保険料を負担すると、その分手取りが減少してしまいます。
 では「社会保険の壁」を越えずに働くことがベストな選択かと問われると、一概にそうともいえません。
 妻が社会保険に加入すると、少額ですが将来受け取る年金が増えるといったメリットもありますが、社会保険料を負担する分、「働き損」の年収帯が発生します。手取りが回復する分岐点はおおむね153万円(130万円の壁の場合)となります。すぐには難しくても、数年かけて時給を上げ、手取り回復分岐点を越えて世帯収入を上げる働き方を考えてみるといいでしょう。
 家庭を支える主婦が、就業時間を増やすことは現実問題として難しいものです。家族の協力を得るために話し合いをしてみましょう。
 今は女性のほうが長生きですから、女性が自分名義のお金を貯めるのは大切なことです。パート収入のうちの半分以上を、自分名義の預貯金で貯めてはいかがでしょうか。パートで働くやる気がアップするはずです。

※記事内容は、執筆時点2019年8月1日のものです。