「税金」って何だろう?
子どものころから「お金」について学ぶことは、世の中の仕組みを知り、経済観念を育てることにもつながっていきます。また最近では、大人にとってのお金の常識も変化しています。そこで、この連載では、親子どちらにとっても学びとなるお金の知識をご紹介。第5回目は、税金について説明します。
私たちが支払う税金の種類
「税金」とは、国(日本)が国民から集めるお金のこと。物を買うときに支払う「消費税」もその一つです。税金は、街の環境や社会を整えるために使われています。
言い換えれば、暮らしを良くするために国民が少しずつお金を出し合う、『社会の会費』のようなものです。
種類は大きく分けると、「国税」と「地方税」の2種類。地方税はさらに「都道府県税」と「市町村税」に分かれ、それぞれの地域を良くするために使われています。
さらに納める方法によって2つのタイプがあります。1つは「直接税」。国や地方自治体へ直接納める税金を指します。例えば、自動車を所有している人が都道府県に納める「自動車税」はこれに該当します。
もう1つは「間接税」。税金を納める人と、実際に負担する人が異なる税金を指します。「消費税」がこの代表例で、商品を売った店がお客さんから消費税を預かり、国に納めています。
税金の種類は細かく分けると約50種類あるといわれおり、様々な形で支払われています。
■様々な税の種類
税金の使われ方
~もしも税金がなかったら~
もしも税金がなくなったら、自由に使えるお金が増えるのではないかと思うかもしれません。しかし、実際私たちの暮らしの中には、税金によってまかなわれているものが数多くあります。一例をご紹介します。
税金がなかったら街はどうなる?
■ゴミだらけになる
ゴミの回収は税金によって行われています。税金がなかったら、回収されずに街がゴミであふれてしまいます
■道路がデコボコのままになる
道路は、毎日人や車が行き来したり、雨風にさらされて傷みます。道路の整備も税金によって行われているため、税金がなかったら直すことができません。歩きにくいデコボコの状態となってしまいます。
■警察官のパトロールがなくなる
警察官など公務員の給料も税金から支払われています。税金がなかったら、街の安全は守れません。
税金の使い道の決め方
様々なところで使われている税金。その使い道は、国民が選挙で選んだ国会議員や都道府県・市区町村の議会議員などが話し合って決めています。
国税については、まず財務省が案を作成。その案をもとに国会で話し合い、最終的な使い道を決定します。都道府県や市区町村の場合も、同じように議会で予算案を作成し、その内容を話し合い、決定します。
議員たちは、国民の意志を受け継いだ代表のようなもの。税金が使われるべきところに使われているのか、私たちも注目することが大切です。大切な税金が有効に活用されているか見届けることは、国民の義務ともいえます。
まとめ
税金が安くなれば良いと考えがちですが、それだけが良いわけではありません。税金によって生活に必要な環境や制度が整備されています。税金の問題はニュースでも頻繁に取り上げられますので、税金の仕組みを理解し、これらの問題を考えてみましょう。
これまでの連載では、私たちの生活に関わる「お金」についてご紹介してきました。記事を振り返りながら、お金との付き合い方など、改めて考えるきっかけになればと思います。
※この記事内容は、執筆時点2024年8月14日のものです。
八木 陽子(やぎ・ようこ)
株式会社イー・カンパニー代表取締役。キッズ・マネー・ステーション代表。ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、所属する全国の講師たちと、小・中・高等学校にて授業や講演などの活動実績が多数。著書や監修本に「お金は子どもに預けなさい」(経済界)、「おさいふのかみさま」(フレーベル館)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。その他「あさイチ」「ウワサの保護者会」テレビ等のメディア出演も多数。