「キャッシュレス決済」って何だろう?

子どものころから「お金」について学ぶことは、世の中の仕組みを知り、経済観念を育てることにもつながっていきます。また最近では、大人にとってのお金の常識も変化しています。そこで、この連載では、親子どちらにとっても学びとなるお金の知識をご紹介。第4回目の今回は、キャッシュレス決済について説明します。

監修:

八木 陽子

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現金からキャッシュレス決済への変化

 最近ではスマホやICカードなどを使って買い物を行う「キャッシュレス決済」が浸透してきました。キャッシュレス決済とは、その名の通り、現金を使わずに決済(買い物)ができる方法のこと。その仕組みは、支払いのタイミングによって大きく3種類に分けられます。
 一つ目は「前払い式」。先にお金を支払い(チャージして)、その金額分までの決済ができます。二つ目は「即時払い式」。買い物をした瞬間に指定した銀行口座からお金が支払われます。三つ目が「後払い式」。一定期間に使った分を後でまとめて支払う仕組みです。
 現金の準備やお釣りのやり取りがないため支払いをスピーディに完了できるなどの理由から、現在ではキャッシュレス決済を行う人が増えてきています。

支払いの便利さと
その裏に潜むリスク

 キャッシュレス決済には、様々な技術が詰め込まれています。例えば、クレジットカードの裏にある黒い磁気テープや交通系ICカードのICチップ、スマホで支払うときに使われる二次元バーコードなどがあります。また、将来的には顔認証で決済ができるようになるともいわれています。
 そこから、銀行口座や残金、使用履歴などの多くの情報を読み取ることができます。そんな便利なキャッシュレス決済ですが、リスクもあります。重要な点は、現金ではなく「情報」でやり取りするということ。何らかの方法で、その情報が盗まれてしまえば、悪用されることもあります。また、現金に比べて支払った感覚が薄くなり、つい支払える限度以上に買い物をしてしまうことも。目には見えなくても、大切なお金の一つであることを忘れないようにしましょう。

リスクを回避するポイント

■銀行口座を分ける

お金が引き落とされる銀行口座が一つだけの場合、多額なお金が悪用されてしまうかもしれません。銀行口座を分けて複数持っていれば、そのリスクを軽減することができます。

■定期的に使用履歴を確認する

情報を盗み悪用する人たちは、持ち主に見つからないように銀行口座から少しずつお金を盗むケースもあります。自分が使用した記録をこまめに見て、身に覚えのないものがないか確認してみましょう。こうすることで、被害を最小限に抑えることができ、使い過ぎも防ぐことにつながります。

■パスワードを使い回さない

パスワードが流出、または盗まれた場合、同じものを使い回していると、芋づる式に他の銀行口座やサービスにまでアクセスされ、悪用されるリスクが高くなってしまいます。パスワードの使い回しは避けると共に、スマホを使わないときはロックをかけるなど、セキュリティ対策を行いましょう。

世界共通のお金「暗号資産」

 お金の歴史は、物々交換から始まり、金・銀・銅、そして紙幣・貨幣へと進化してきましたが、現在ではインターネット上でお金のように使えるデータにまで変化しています。そのデータが「暗号資産」というもの。未来の決済手段の一つとして注目されています。
 通常外国と取引をする場合、円やドルなどどちらかの国のお金に変換しなければなりませんが、暗号資産は世界中どこでも「同じ価値」として取引できるため、その手間や手数料が掛かりません。しかも、「ブロックチェーン」という仕組みで、みんなでお金の動きをチェックしているから、誰かが勝手に盗む(データを改ざんする)ことはできないようになっています。また、住んでいる国の経済状況が暗号資産の価値に影響することがないことから注目されています。
 メリットのある一方で、価格の変動が大きい、歴史が浅く法規制が十分に整っているとはいえないなどの懸念点もあります。暗号資産を活用する際には、注意しましょう。

まとめ
近年では、「キャッシュレス決済」によって現金を持ち歩かずに決済ができるようになってきました。身軽で手早く支払いができるなどのメリットがある一方で、セキュリティをしっかりとしなければ、悪用されるリスクもあります。便利な決済方法を活用するために、そのリスクはしっかりと理解していきましょう。

次回は「税金」についてのお話です。

※この記事内容は、執筆時点2024年5月15日のものです。

八木 陽子(やぎ・ようこ)
株式会社イー・カンパニー代表取締役。キッズ・マネー・ステーション代表。ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント。2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、所属する全国の講師たちと、小・中・高等学校にて授業や講演などの活動実績が多数。著書や監修本に「お金は子どもに預けなさい」(経済界)、「おさいふのかみさま」(フレーベル館)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。その他「あさイチ」「ウワサの保護者会」テレビ等のメディア出演も多数。

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