値上げが直撃しやすい家計の特徴

ものだけでなく光熱費などの「値上げラッシュ」が家計を直撃しています。この終わりの見えない値上げから少しでも家計を守るための方法を3回のシリーズでご紹介します。第1回は、「値上げで疲弊しやすい家計の特徴」。まずは、影響を受けやすい家計なのか、意識するところから始めましょう。

監修:

あき

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値上げの影響を受けやすい
家計の特徴は?

特徴1 エンゲル係数が高い~家計に占める食費の割合が多い~

 食品の価格は、特に値上がりしているものの一つです。家計全体に占める食費の割合であるエンゲル係数が高い家庭は、これまでと同じ食材を同じ量買い続けると、必然的に食費が高くなります。具体的には、世帯人数が多い家庭、中学生がいるなどの食べる量が多い家庭は当然食費が増えます。問題は、「値上げを意識していない」ことなのです。一つ10~20円程度の値上げだからそれほど影響はないと思うと、今まで通り買い物をしてしまいます。また、キャッシュレス決済で払うことも多く、より気付きづらくもなっています。
 家計を守るうえで大事なのは、まずは「意識すること」です。我が家の家計にどの程度の影響があるのかを考えてみましょう。

特徴2 光熱費が高いのは仕方がないと思っている

 食費と並んで大きく値上がりしているのが、光熱費です。使用量が同じでも2年前と比べると、我が家では月に1,000~2,000円上がっています。特に影響を受けやすいのは、元々光熱費が高い家庭、北海道や東北など、地域柄光熱費がかさむ家庭、家族が多い家庭など。節約に気を配らないと、家計を直撃してしまいます。
 光熱費は、削れないと思われがちな費目です。また、普段どれくらい使っているのか知らない人も多いようです。光熱費の節約に取り組む際は、料金ではなく使用量で比較しましょう。料金で見ると、使いすぎで上がっているのか、値上がりの影響なのか判断できないため、節約するときは、1年前の同じ時期の使用量と比べてみることがおすすめです。

 こうした節約は、必ず成果が出ますから、たいして変わらないと思わずにぜひやってみてください。やって気づくこともありますから、まずは取り組んでみること。お金のためだけでなく、エコや環境のためと考えて前向きに取り組みましょう。
 具体的には、使用する家電の数は少なく、ワット数も少なく、使用時間も短いほうがいいのです。また、10年以上使っているエアコンや冷蔵庫などは、費用対効果を考えて省エネ性能に優れたものに買い替えるほうが電気代を抑えることができます。買い替えのタイミングでは、値段だけでなくそうした性能で選ぶほうがお得です。家族で取り組み、エアコンなしの月なら、電気代5,000~7,000円を目標に節約しましょう。

特徴3 車の所有台数が多く、よく乗る

 長距離移動や通勤に車を使う人や所有台数が多い世帯は、どうしてもガソリン代が高くなります。
 可能な場合は、ガソリン代は月にいくらと定額制にしておき、その額の分だけ入れるといいでしょう。それでは足りずに、プラスで入れた場合は、次の月に意識して調整することで、ガソリン代をコントロールできるようになります。

特徴4 以前より収入が下がっている

 出費が増える中、収入が以前より下がっているなら当然家計は厳しくなります。コロナ禍などの影響で収入が下がった、健康状態が悪くて働けない、夫婦のうちどちらかの収入が下がったなどの場合は、値上げの影響を受ける度合いが大きくなります。
 さらに、そんな家庭が大学生の授業料を払っているなど、大きな出費がある場合は特に影響が大きくなります。

 そのような場合は、副業やポイ活なども含め収入をアップさせる方法を模索するほか、支出の大きな固定費から見直し少しでも支出を減らしましょう。そのうえで値上げ分の支出をカバーできる方法も模索するといいでしょう。

特徴5 値上げの影響を気にせず、無頓着

 漠然と値段が上がっている気がするが、100~200円程度の値上がりを気にしていなかったり、以前の価格を忘れている場合も多く、値上げに敏感になっていないと顕著に影響を受けます。日常的によく買う肉、卵、牛乳などの価格はすぐに判断できますが、たまに買うマヨネーズやめんつゆなどは価格を把握していないことも多く、いくら上がったのかよく分からないまま買ってしまいます。

 買い物をするときは、「鶏もも肉3枚」ではなく、「鶏もも肉800g」と、量で買うと多く買いすぎることを防げます。また、1日に使う目安の金額を2,000円などと決めておくと、値上がりの幅が分かります。私も以前と同じように買い物をしていると、1日300~500円高くなっていると感じています。すると、1カ月で食費が10,000円くらい高くなっているはずです。
 値上がりしているものは代替品を探すか、量を減らして、値上がりの幅が小さいものを組み合わせる、買う回数を減らす、安くなっている日に買うなどの工夫をしましょう。

まとめ

 ものの値段が上がっている影響を受けているのに気付かない人が多いことこそ、実は一番の問題です。「高いな」と思っても、どのくらい支出が増えているのかは分かっていません。私自身は普段から意識しているため、食費が月に10,000円くらい、光熱費は2,000円くらい上がっているなという実感があります。上の5つの特徴に当てはまる数が多い人ほど影響を受けやすいので、真剣に家計管理に取り組みましょう。

 今回取り上げたものは、食品、電気・ガス、ガソリンなどの必需品で、減らせない、やめられないものばかりです。多い少ないにかかわらず、すべての家計が影響を受けています。こうした必需品に今まで以上にお金が掛かるようになると、ゆとりに回せる額が減ります。気付かずに暮らしていると、払わなければならないものが増えて、ゆとりの部分がどんどん削られていきます。ものの値上げに気付いて支出の見直しに取り組み、ゆとりの部分のお金を増やしましょう。

 私はよく、「家計管理をしている人としていない人では、人生で1,000万円違います」とお話しします。同じ収入でも豊かさが全然違うのです。家計管理をすることは、節約してつらい生活をすることではなく、お金の使い方にメリハリがつき、自分自身の人生を豊かにすることにつながるものです。

今回のポイント

・まずは意識をするところから始めよう
・光熱費の節約には環境のためと考えて取り組む
・ゆとりに回せるお金が減らないように節約を心掛ける

※この記事内容は、執筆時点2023年5月10日のものです。

あき
家計簿&家計管理アドバイザー。東京都在住。夫と子ども3人の5人家族。家計簿歴20年以上。1日1行つけるだけのオリジナル家計簿に変えて、わずか2年で約350万円以上の貯蓄に成功。家計簿のコツを紹介した「2年で350万円貯めた!ズボラ主婦の節約家計簿管理ブログ」は、テレビや雑誌で紹介された。『スマホでもできるあきのズボラ新家計簿』(秀和システム)など、著書多数。

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