良い介護施設の選び方

介護経験のない方はもちろん、すでに介護をされている方にも是非ご覧いただきたいシリーズ「教えて介護」。第4回目のテーマは「良い介護施設を選ぶポイント」。介護保険適用外の有料老人ホームなどは大きな出費を伴うだけに、慎重に選びたいところです。どうすれば失敗しない施設選びができるのか、その見極めポイントについてお話をお伺いします。

監修:

阿久津 美栄子

〉〉〉プロフィール

試食会があれば参加しよう
食事は施設で一番の楽しみ

——介護施設選びに失敗しないためのポイントを教えて下さい。

阿久津氏(以下、敬称略)
 施設で生活する際の一番の楽しみは食事です。口に合わないと、日々の生活が辛くなりますので、重要なポイントの一つでしょう。もし検討している施設が試食会を行っていれば、ぜひ参加してみてください。

——試食会はどの施設でも行っているものですか。

阿久津
 実施していない施設のほうが多いですが、ただ、試食会を行うこと自体、味に自信がないとできないことなので、試食会がある=ポイントが高いと言えますね。

細かなところを観察しよう
人手不足の施設は多い

 試食会に参加した際も含めて、見学ができるのであれば、スタッフの対応をよく見てみましょう。長く生活する場になりますので、何か違和感があれば、選択肢から外した方が良いかもしれません。
 施設内の掃除が行き届いているかなども見るべきポイントです。「におい」も重要な判断材料にしている方もいました。

——においでわかるものですか。

阿久津
 今は正直どの介護施設も人手に余裕がありません。そのため、掃除やケアが行き届かず、結果「におい」がするということがありますね。
 あとは、建物の外観で見極める方法もあります。植木の手入れが行き届いているか、雑草が生えっぱなしになっていないか。こうした細かなところを観察することで人手が足りているかどうかわかります。
 また、直接「何人体制なのか?」を聞いてみるのも良いと思います。答えに詰まったり、曖昧な回答だったりする場合は、人手が足りていない可能性を疑ってみるべきだと思います。

——外国人スタッフも多くなっていますね。

阿久津
 確かに増えてきていますね。理解がまだ深まってなく、敬遠されることもあるようですが、それは誤解で、一生懸命仕事をされる方が多く、介護する方にとっても外国人スタッフの方がいいという声もよく聞きます。
 多くの施設で人手不足が深刻化しているので、体制がしっかり整っているかどうかを選ぶ基準にするといいと思います。

足を使って情報収集しよう

——施設利用者の生の声を聞くことはできますか。

阿久津
 自治体やNPOが行う、要介護者をもつ家族の集いやコミュニティカフェなどに参加すると、入居者やそのご家族のお話を聞くことができますよ。大切なのは、自ら足を運び情報を得ることです。
 また意外な落とし穴として、医療と連携している有料老人ホーム施設では、入居すると連携する主治医に変えざるを得ない状況になることがあります。そのため、外部の病院(これまでの主治医)に診てもらうと有償オプションになったりします。
 要介護者やそのご家族にとって大事なことを、つい見落としがちです。主治医がそのまま継続できるかどうか、事前に施設側に確認しておきましょう。

——ありがとうございました。

次回は、介護における「記録」の重要性についてお話をお伺いします。

※この記事内容は、執筆時点2021年4月1日のものです。

阿久津 美栄子(あくつ みえこ)
1967年長野県生まれ。自身の介護経験からNPO法人UPTREEを立ち上げる。介護者のための「介護者手帳」を製作し、介護家族の支援モデルの確立に注力している。2019年4月「介護あっぷあっぷくん」(介護未経験者・初心者向に向けて介護の基本的な情報、介護保険の仕組み、介護に利用できる公共サービスなどを教えてくれるLINE公式アカウント)をリリース。著書に「ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「家族の介護で今できること」(同文書院)。

TOPページに戻る