知って安心 子どもの教育費
高校時代<16~18歳>

高校生になると、進学先が国公立または私立なのか、あるいは「就学支援金制度」の対象になるかで支出額が変わります。大学進学が目前となり、いよいよお金の準備や情報収集が大切になる時期です。

監修:

清水 香

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高校時代は大学受験と
入学の準備期間

■就学支援金による授業料支援

 高校に入ると授業料や教科書代が必要ですが、該当世帯は国公私立を問わず「就学支援金制度」による授業料支援が受けられ、現在約8割の生徒が利用しています。
 支給額は国公立または私立で異なります。国公立に通う世帯年収910万円までの世帯の生徒は、年額約12万円の授業料相当額がゼロになります。私立に通う生徒は世帯年収に応じて支給額が変わり、世帯年収590万円までの世帯は年額約40万円、世帯年収910万円までの世帯は約12万円が支給されます(※)。学校から案内されたら手続きしましょう。
 なお、保護者の傷病や失業などで家計が急変したときは、授業料支援を受けられるしくみもあります。困ったときは学校に相談しましょう。

※両親片働きの高校生・中学生の4人家族の場合の目安/世帯構成により異なる

 就学支援金とは別に、世帯により3~15万円程度の教科書代や教材費等の支援が受けられる低所得者向けの「高校生等奨学給付金」もあります。都道府県により、独自経済支援などを実施しているので確認しましょう。

■秋に決まる推薦入試やAO入試
 入学金も早く必要に

 一般入試の入学手続きはおおむね3月頃ですが、現在、高校生の約半分が秋頃に実施する推薦入試やAO入試で進学しています。この場合、大学納入金が早く必要になります。
 「私立大学新入生の家計負担調査」によれば、受験から入学時までの必要費用は、自宅生160万円、下宿生300万円程度となっています。

 ここでお金が足りない場合は、保護者が教育ローンを借り入れることも検討します。本人が奨学金を受けられる場合でも、奨学金は一般に大学入学後の入金なので間に合いません。

 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」であれば、低利でいつでも申し込め、入金は申し込みから20日前後。世帯人員と世帯年収による申込基準があり、子ども2人だと890万円未満が対象です。多子世帯や一定所得以下世帯は、金利や返済期間の優遇が受けられます。世帯年収が申込基準を超える場合は民間金融機関の教育ローンの利用を検討することになりますが、融資要件は各金融機関により異なります。

・文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
・文部科学省「高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧」

 次回は、教育費のヤマを越える最後の段階「大学時代」についてです。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「子どもの教育費がわかる本」の抜粋です。
内容は、執筆時点2024年8月1日のものです。

清水 香(しみず かおり)
1968年生まれ。FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表、株式会社生活設計塾クルー取締役。生活者向け相談業務のほか、執筆、講演など幅広く展開、TV出演も多数。財務省の地震保険関連の政府委員を歴任、自由が丘産能短期大学講師、日本災害復興学会会員。

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