くらしに苦慮する
ひとり親世帯への給付

コロナ禍により、弱い立場に置かれた人がより厳しい状況に追いやられていることが明らかになっています。就労しながら単身で子どもを養うひとり親も同様、深刻な状況です。
こうしたなか、政府は6月12日に成立した令和2年度第二次補正予算で、ひとり親世帯のための給付金の予算を計上。これが「ひとり親世帯臨時特別給付金」で、既に手続きが始まっています。くわしく説明します。

監修:

清水 香

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新たに創設された
「ひとり親世帯臨時特別給付金」

 わが国のひとり親、とりわけ母子世帯の家計はかねてより厳しい状況にあります。厚生労働省の調査によれば、母子世帯の母の平均年間就労収入は200万円。しかも半数はパートやアルバイト、派遣などの非正規雇用で、貯蓄額が50万円未満の世帯は4割。収入を得られなくなれば、たちまち家計は行き詰まってしまうでしょう。実際、4月に発出された政府の緊急事態宣言による休業要請により、解雇や雇い止め、休業による失業状態に置かれ、食事にも事欠くひとり親世帯の悲痛な声が上がっているのです。

 今回創設された「ひとり親世帯臨時特別給付金」は、新型コロナの影響で収入が減少、心身に大きな負担を強いられているひとり親世帯への支援です。1世帯あたり5万円、第2子以降ひとりにつき3万円を給付する「基本給付」と、収入減少世帯に1世帯あたり5万円を給付する「追加給付」の2つがあります。

「基本給付」の対象となる世帯は?

対象になるのは、以下の世帯です。

(1)児童扶養手当受給世帯

 申請不要で基本給付を受けられるのは、2020年6月分の児童扶養手当が支給される世帯です。児童扶養手当は、18歳年度末までの子どもがいる低所得のひとり親に支給される手当で、子どもの数に応じて定められた収入基準額以内(子どもひとりの場合、365万円)となる世帯に支給されるもの。この手当を受給している世帯への給付はすでに始まっています。

(2)公的年金給付受給世帯で、児童扶養手当を受けられない世帯

 公的年金等(遺族年金や障害年金、老齢年金、労災年金や遺族補償)を受けている世帯も基本給付の対象になります。ひとり親の2019年の年金や就労収入などの年間収入額が、児童扶養手当の収入基準額を下回っていれば受給できます。ただし、こちらは申請が必要です。

(3)新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した世帯

 新型コロナウイルスの影響で家計が急変して、直近の収入が児童扶養手当の受給者と同水準になった世帯も対象になります。減収の証明は必要ですが、2020年2月以降の任意の月の収入の12倍が児童扶養手当の収入基準額以下であれば対象になります。

 前年に収入基準額を超える収入を得ていて、児童扶養手当が全額支給停止となっているひとり世帯であっても、過去に児童扶養手当の申請をしていれば現況届は届きますので、該当する場合は一緒に申請をするとよいでしょう。

 なお、収入基準額を超えるひとり親であっても、給付される場合があります。たとえば、親や祖父母、兄弟姉妹など同居親族(=「扶養義務者」)がいて、その人の収入が減ってしまい、2020年2月以降の任意の月の収入の12倍が児童扶養手当の収入基準額以下(子どもひとりの場合、420万円)になった場合などです。

「追加給付」の対象となるのは
基本手当の対象となる(1)(2)で家計が急変した世帯

 基本給付に加え追加給付を受けられるのは、基本給付を受けた世帯のうち、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した上記(1)および(2)に該当する世帯です。減収の基準はありませんので、少しでも下がれば受給できます。基本給付の申請が不要だった(1)の世帯でも、こちらは申請が必要です。

 いずれも申請期間は2021年2月末まで。郵送でも可能ですから、漏れなく手続きをしましょう。要件がやや複雑で分かり難いので、不明点があれば市区町村の子ども家庭支援課などに電話などで問い合わせることをお勧めします。
 参考として、下表は東京都日野市の提供するフローチャートです。

参照:「日野市役所 ひとり親世帯臨時特別給付金対象フローチャート」

※この記事内容は、執筆時点2020年8月21日のものです。